赤外線カメラの反射とは?測定時に気を付けたいポイント

反射について

サーモグラフィカメラを使用していて、高温のもののはずなのに、低く温度が表示されたり温度差がないはずのところにホットスポットが表示されたりした経験はありませんか?その現象は“反射”の影響かもしれません。80℃のお湯が入ったカップの表面温度が39℃と異なった温度で表示されるのはなぜかという疑問がこの記事を読んでいただければ解決します。

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例えば、こちらの写真は、測定対象物が反射の影響を受けている一例です。測定対象物であるステンレスの板は、本来は均一で温度分布はない状態のはずですが、撮影した熱画像には測定者やカメラ本体が映り込んでいます。この状態では、ステンレス板そのものの温度を正しく計測することはできません。

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簡単に表現するならば、反射とは鏡のように対象物に周辺の物体が映り込んでしまう現象です。人間の目で見える世界(可視光)では、鏡や窓ガラスに映る自分の姿を何気なく見ていますが、赤外光の領域は、映り込んだものの温度も測定値に影響します。例で挙げた熱画像では、本来室温であるはずのステンレス板が測定者の体表面温度に近い値を示しています。この場合、周囲のものが映り込まないようにして測定すればよいのでは?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。一見して何も映っていないように見えても、天井や壁が映り込んでいます。映り込み自体をなくすことはできませんが、測定角度を変えることで、明らかな熱源を避けたり、あえて均一なものを映り込ませたりすることで、本来の対象物の温度分布を得ようという撮影テクニックを使うことがあります。

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上図では、測定者のほかに天井の蛍光灯が映り込んでいます。常温のはずのステンレス板が蛍光灯の表面温度(約70℃近く)の影響を受け、56.6℃と表示しています。

 

反射する素材とは?

反射の影響が強くでるかどうかは、対象物の素材によって決まります。一般的に金属やプラスチックなどの素材は強く反射の影響を受けます。また、同じ素材であっても表面状態に光沢のあるものの方が反射する傾向にあります。

身近な例として、黒板は反射の影響を受けにくいですが、ホワイトボードは反射しやすい表面状態をしています。この2つの対象物の違いは、実は、色ではなく表面がざらざらとしているか、つるつるとしているかが重要です。

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このような反射を受けやすい素材の対象物を正しく温度測定するには、表面の状態を変え、反射を下げる必要があります。一つの方法として、黒体スプレーや黒体テープを塗布することが挙げられます。冒頭で挙げたお湯が入ったカップの表面にテープを貼り付けると、その箇所は中のお湯に近い温度を示すことが分かります。下図は、カップ表面に簡易的にビニールテープを張り付けただけですが、お湯の温度(79.9℃)に近い温度(74.5℃)を示しています。

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反射のことをもっと学ぶには

実は、赤外線を学ぶなかで、反射について理解するには専門的な理解が必要となります。ここでは、簡単にイメージをしていただくために身近な例を使って導入だけを記載しています。

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