赤外線カメラと画像解析サーモグラフィカメラの利用とFLIRソフトウェア紹介

赤外線カメラで撮影した熱画像の解析について

赤外線カメラの中でも、温度情報を持つ画像を取得できるサーモグラフィカメラは、撮影した熱画像を解析することで、様々な分析に役立てることができます。赤外線画像処理には様々な手法がありますが、ここではFLIR解析用パッケージソフトを中心に、ユーザーでソフトウェアをインテグレート可能なカメラモデルについても紹介します。

 

赤外線カメラで取得できる温度情報を持つ熱画像とは

赤外線カメラで取得できるデータには2種類があります。1つは、温度情報のないイメージデータです。この画像データは、温度分布をイメージとして保存するため、取得後に画像から温度情報を数値解析することはできません。もう一方は、温度情報付き熱画像と呼ばれる熱画像に温度情報を含んだ熱画像データです。この温度情報つき熱画像データは、専用のソフトウェアを用いることで、表示温度範囲の調整、任意のポイントを指定して、温度値を表示するなどの後解析が可能です。主にハンディ型の赤外線カメラでは、本体のシャッターボタンを押すことで、内部メモリや挿入したSDカードに温度情報付き熱画像データが保存されます。では、この熱画像データからより詳細な温度の解析を得るにはどのような方法があるかについて説明します。

まず、FLIRの赤外線カメラの熱画像解析用ソフトウェアThermal StudioとResearch Studioを紹介します。

 

熱画像解析用ソフトウェアThermal Studio

熱画像解析用ソフトウェアThermal Studioには用途に応じて2つの種類があります。

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Thermal Studio Starter(サーマルスタジオスターター)

静止画解析を簡易に行う方向けの無償ライセンスです。こちら(Thermal Studio Starterのライセンス入手方法 (custhelp.com))よりアカウント登録をして申請いただくことで、1年間ご使用いただけます。(継続して使用する場合は、再度ご申請が必要です。)

 

Thermal Studio Pro(サーマルスタジオプロ)

複数枚の静止画解析を一括して行うバッチ処理機能のほか、主に温度変化を時系列の動画データとして取得したい方向けの有償ライセンスです。静止画解析のツールとして、Starterで使用することのできるポイントやボックスといったシンプルなROIの他、変形線分や多角形など対象物の温度値解析に対してより多くの指定ツールを使用できます。

 

熱画像動画解析用ソフトウェアResearch Studio Pro

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Research Studio Proは動画解析をメインとした研究開発向け有償ソフトウェアです。
このソフトウェアを用いると、USBケーブルやイーサネットで赤外線カメラとPCを接続することで、リアルタイムに熱画像データをソフトウェア上に表示して記録し、時系列の温度変化をグラフ表示します。

データ取得の速度やタイミングなどを指定することもできます。また取得した熱画像データから温度分布をCSVに出力して、数値解析にご利用いただけます。

 

Research Studio Proは、初めてのインストール後、30日間は全機能を試用版としてお使いいただけます。ご購入前にこちら(Research Studioのインストール方法 (custhelp.com))からお試しください。

 

用途に応じて選ぶ赤外線カメラモデル

赤外線カメラは主に2つのタイプに大別できます。1つは、ハンディ型と呼ばれる測定者が手に持って撮影を行うカメラです。もう一方は、固定型の赤外線カメラです。

 

ハンディ型赤外線カメラ

このタイプの赤外線カメラは、液晶画面と操作部が一体型になっており、計測時、画面で状況を確認しながら測定できます。手軽に持ち運びができ、バッテリーで駆動するため、現場での計測に向いています。FLIRではガンタイプまたはカメラブロック回転型の形状のものがこれに当てはまります。

FLIR T540プロフェッショナル赤外線サーマルカメラ 

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ハンディ型赤外線カメラで熱画像解析を行う主な用途としては以下のようなものがあります。

 

【電気設備の発熱異常確認】

配線を端子台に接続する時にネジの締め方を誤ると、接触不良が発生して発熱し、最悪の場合は発火し、火災につながることがあります。また、変電設備におけるキュービクルや碍子は、汚損や劣化によって、予期せぬ停電の原因になることがあります。これらは、赤外線カメラで定期的に温度を確認することにより、異常を予知し、未然に防ぐことができます。

電気/機械点検 

 

【室内環境の温度ムラによる快適性の影響確認】

昨今の電気代の高騰と地球温暖化の影響から、省エネ住宅への関心が高まっています。断熱が十分になされているか、空調設備の効率はよいかなど、目に見えない温度を赤外線カメラでは可視化することができます。

フリアーシステムズのサーモグラフィカメラ活用事例

 

【外壁剥離の診断】

マンションやビルなど、建物の経年劣化による外壁塗装やタイルの剥がれは、雨漏りの侵入や、壁からの落下による事故を引き起こす可能性があります。中でも、タイル浮きは、壁面とタイルの間に空気層が発生するため、この部分の温度が周囲と異なる変化をすることを利用して、赤外線カメラでの診断で多く試用されています。

 

【電子基板や極小部品の放熱状況の確認】

パソコンやスマートフォンなど、小型化が進む電子機器は搭載する半導体もより微細なものへ変化しています。これらの放熱や伝熱状況を把握することは、研究開発や品質保証に大いに役立ちます。小さく繊細な対象物は、接触することで変化が生じ、温度計の直接貼り付けを行うことが難しいものも多くありますが、赤外線カメラは、非接触で温度の分布を計測できる点が優れています。

電子部品の試験:非接触式への挑戦 

 

固定型赤外線カメラ

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ユーザーの中には、赤外線カメラからの温度値データを利用して、他機器を制御するなど利用自社でソフトウェアをカスタマイズしたり、赤外線画像処理を利用して判定に使ったりしたいとの要望をお持ちの方もいらっしゃると思います。そのような場合は、ネットワークへの取り込みが可能となる固定型赤外線カメラを選択します。

スマートセンサーを備えたFLIR Axxxサーモグラフィスマートセンサーカメラ

固定型赤外線カメラで熱画像解析を行う主な用途としては以下のようなものが挙げられます。

・品質管理のための温度監視

食品の製造ラインでの加熱の過不足、製紙や製鉄の生産工程における温度の均一性など、温度分布を可視化させることで、製品品質を一定水準に保つための検査・監視に使用されています。

サーマルイメージングを用いた製品品質管理の確保 

・異常発熱による火災検知

産業廃棄物や、石炭などの原料保管ヤードでの自然発火を事前検知する目的で赤外線カメラは使用されています。カメラからのアウトプットを利用して、予め任意に設定した閾値を超えた場合に、ソフトウェアの構築によって、アラームを発砲して知らせ、散水などによって異常発熱を鎮めるなどのシステムインテグレートにも応用が可能です。

火災の防止に役立つサーモグラフィカメラ 

 

ハンディ型赤外線カメラも固定型赤外線カメラも上記で紹介したモデル以外に用途に応じて機能がことなる多数の機種があります。赤外線カメラを使用して、画像処理・熱画像解析をしたいとお考えの方は、ぜひお問い合わせください。お問い合わせはページ内、フォームより受け付けております。

 

 

 

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