大牟田市動物園サーモグラフィカメラ活用事例
サーモグラフィカメラを活用し、動物の健康状態や飼育環境を把握し生活の質の向上に取り組んでいます。
福岡県大牟田市にある1941年開園の市立動物園である大牟田市動物園は、動物の健康状態や飼育環境を把握し生活の質の向上に取り組んでいます。
※右側のフォームより活用事例のPDF版をダウンロード頂けます。
サーモグラフィカメラで動物を撮影
動画としてFacebookやYouTubeにアップ
「動物福祉を伝える動物園」というコンセプトを掲げる大牟田市動物園。動物福祉とは、動物が精神的にも肉体的にも健康であり、環境と調和していること。園内の動物たちがそのような状況に近づけるよう、そして来園者にも動物福祉について考えてもらえたらと、日々様々な工夫を行っています。そうした動物福祉の一環として、新たにフリアーシステムズのサーモグラフィカメラを導入。日々の動物の健康状態や飼育環境の把握に役立てています。
動物園応援募金によりカメラを購入
「最近、動物園などでは、サーモグラフィカメラの導入がトレンドになっています」と、開口一番、大牟田市動物園の企画広報担当の冨澤奏子氏は語ります。もともとサーモグラフィカメラは、治療のために家畜などでの導入が進んでいました。大牟田市動物園でも、サーモグラフィカメラの導入のきっかけはそこにありました。
「例えば、動物が足を引きずっていたとします。しかし、出血やケガなどがなければ、見た目ではどのような状況なのかを判断することはできません。サーモグラフィカメラを使えば、疾患の部位の炎症の程度を温度で知ることができます。また、園内の動物の中には、直接体温を測ることが難しい動物もいます。冬は地面がとても冷えるのですが、足先まで体温が保たれているのか、従来は評価することができませんでした」こうしたことから、飼育環境の評価と動物たちの健康評価を一緒に見ていくことで、飼育環境の改善や動物の健康維持などにより、動物の生活の質の向上につなげていきたいと、サーモグラフィカメラの導入を決めました。しかし、市には予算の余裕がありません。そこで取り入れたのが、募金による購入でした。動物園正門に置いてある募金箱は、動物園応援募金とされてい
ます。その募金のプロジェクトとしてサーモグラフィカメラの導入を目標としました。その結果、多くの人たちの協力により早期に目標金額を達成。フリアーシステムズに問い合わせを行い、営業担当者から連絡を受け、様々な有用な助言を得て『FLIR E6-XT』を8月に導入し、運用を開始しました。
定点観測から新たな発見につなげる
動物園には現在2頭のキリンがいますが、そのうちの1頭のキリンが冬になると足を引きずって歩くことがありました。外見上は炎症や腫れが見えず、原因を特定することができませんでした。「もしかしたら外気温の低下に伴い、足先の体温が下がっているのではと思い、馬用のシッピングブーツを改良し、キリンに使ってもらったところ、足を引きずって歩くことが見られなくなったため、気温の低下に伴う体温への影響があるのかもしれないと考えました。そこで現在は、サーモグラフィカメラを使い、キリンの体温を日々チェックしています」
「サーモグラフィカメラの使用で、夏から冬にかけて定期的に温度をチェックすることで、原因の特定ができればと思っています」
また、動物園では、お客様からのリクエストに応えるかたちで、YouTubeにフタユビナマケモノのクリちゃんをサーモグラフィカメラで撮影した動画をアップしています。「ナマケモノの生態は明らかにされていないことが多く、今後サーモグラフィカメラを活用していくことで、いろいろな新しい発見があるのではないかと私たちは期待しています」
Wi-Fi機能でパソコンへの取り込みも容易
動物園では、ナマケモノの例のように、動物の様々な研究に活用する一方で、日々の動物の健康状態の管理にも活用を進めていこうとしています。日々の動物の健康管理のデータが蓄積されることで、その動物の通常の状態を把握し、異常があった場合には迅速に気付くことで予防します。それがまた研究につながっていくという好循環が生まれます。
「サーモグラフィカメラの活用方法としては、動物だけではなく、展示場の床や柵の温度といった動物の周囲の環境にも注意を向けていきたいと考えています。動物が休憩できるスペースがあったとしても、本当にそこは動物にとって快適な場所になっているのか。季節によって変化はないのか。そういったことも確かめることができ、飼育環境の把握や改善につなげることができます」『FLIR E6-XT』の良さは、MSX™機能(スーパーファインコントラスト機能)を搭載し、デジタルカメラの通常の状態の画像と、サーモグラフィの画像が同時に撮影できること。両方を比べることでどのような状態で撮られたものかがすぐにわかります。また、Wi-Fi機能でパソコンへの取り込みも容易で、サーモグラフィの動画での撮影も可能です。
「やはり動画のほうが、断然注目度は高くなります。今後、他の動物園や水族館など多くの施設でも導入が進み、動物の健康や環境改善、そして私たちが力を入れている動物福祉について理解が広がっていく一助になればと願っています」と、冨澤氏は、サーモグラフィカメラ活用の広がりへの期待をそう語ってくれました。
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