チェコの電力会社は、ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306を六フッ化硫黄の検知に使用しています
六フッ化硫黄(SF6)は、高電圧配電施設の絶縁ガスとして使われています。 SF6を使用することにより、変電設備の小型化が可能になります。 しかし、SF6は非常に強力な温室効果ガスでもあります。 したがって、設備内で漏出すると、電力供給が継続できなくなる危険に加え、漏出により環境にも影響を与えることになります。 電力供給の継続性を確保し、環境への影響を抑えるため、電力会社はSF6の漏出を検知するガス検知用赤外線サーモグラフィを使用することができます。 ガス検知用赤外線サーモグラフィを活用している電力会社の1つが、チェコ共和国のプラハを拠点とするČEPS a.s.です。
ČEPS a.s.は、チェコで唯一の送電システム運用機関で、チェコのエネルギー庁からエネルギー法に基づいて付与された独占的ライセンスを保持しています。 ČEPS a.s.は、68台の変圧器から成る39ヵ所の変電所のメンテナンスおよび整備を担当しており、これにより、電力を送電システムから配電ネットワークへと供給することができます。 配電ネットワーク内のほぼすべてのブレーカー、変流器、変圧器およびガス絶縁変電所で、SF6が絶縁材として使用されています。 この気体誘電体は絶縁材として非常に効果的で、放電時の過熱を防止する、または迅速に冷却するために役立ちます。そのため、SF6は世界中の高電圧機器において、絶縁ガスとして最もよく使用されています。
「SF6の漏出を早期に検知することにより、停電を回避し、配電の継続性を確保することができます。」と、ČEPS a.sの高圧施設メンテナンス部部門長であるMilan Sedláček氏は説明します。
FLIR GF306
「私たちは、SF6が漏れている変流器でガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306を試し、その潜在能力にすぐに気がつきました。」とSedláček氏は述べています。「他の方法では漏出を検知できませんでしたが、ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306を使用すると、問題箇所を確認することができたのです。 この驚きの実証成功の後、私たちはFLIR GF306ガス検知用赤外線サーモグラフィを購入しました。この購入を後悔したことはありません。 ほんの数ヵ月しか使用していませんが、このカメラが非常に効果的であることは明らかです。」
嗅覚性探知機 vs FLIR GF306
SF6は無色無臭で不燃性なので、ツールなしに検出することはほぼ不可能です。 この目に見えないガスを検出するために最もよく使用されるツールは、いわゆる「嗅覚性探知機」です。この機器により、1ヵ所のある一定のガス濃度を測定し、100万分の1単位(ppm)で濃度測定値を取得します。 Sedláček氏によると、このツールはとても便利ですが、用途は限られているとのことです。 「嗅覚性探知機は1地点のガス漏れを検出するだけです。 それはつまり、漏出を非常に見逃しやすいということです。 私たちがガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306を試験するために使用した変流器が良い例です。 私たちは、SF6を約6~8ヵ月ごとに補充しなければならなかったので、その変流器にガス漏れがあることを知っていました。しかし、嗅覚性探知機では漏出場所を確認できなかったのです。 ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306により、漏出場所を非常に迅速に突きとめることができました。
電力施設におけるSF6漏出は、設置ミス、定期メンテナンス中の障害または経年劣化によるシーリング箇所の損傷などによって発生する可能性があります。 配電施設で最もよく見られる漏出経路は、フランジ、ブッシング、破裂ディスクおよびバルブステムです。 「漏出が想定どおりの箇所で発生しているうちは、嗅覚性探知機は大変便利ですが、漏出はたいてい想定外の場所で発生します」と、Sedláček氏は説明します。 「私たちがガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306を試験するために使用した変流器の場合、漏出は変流器上部の素材上で、パーツのつなぎ目などではない場所で発生していました。通常は漏出を疑うことのない場所です。 嗅覚性探知機では漏出箇所を発見することはできなかったでしょう。 嗅覚性探知機では、単に1ヵ所の計測値が得られますが、ガス検知用赤外線サーモグラフィでは、変流器全体または点検している他の機器の一部の概要を得ることができます。
Sedláček氏によると、他の方法と比較したときの、ガス検知用赤外線サーモグラフィの主な利点は、検出範囲とのことです。 嗅覚性探知機を使用する場合、SF6漏出を検知するためには漏出箇所の数mm内を確認しなければなりません。しかし、ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306の場合、6m離れた位置から小さな漏出を見つけることができますので、機器を管理下に置いたまま安全に使用することが可能です。 これはつまり、点検のためのダウンタイムが不要であることを示しますので、私たちにとっては非常に大きな利点です。」 もう1つの利点は、点検速度がアップすることです。 「ガス漏れを探すために嗅覚性探知機を使用する場合、確認に時間がかかります。 漏出があると思われる箇所の横に、いちいち検出器を置かなければなりません。 ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306を使用すれば、機器全体を1回でスキャンすることができます。」
「ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306の寸法や重さは、一般的なビデオカメラと同程度なので、現場でも使用しやすいです。」と、Sedláček氏は述べています。
高感度モード
Sedláček氏がよく使用するカメラの特別な機能の1つは高感度モード(HSM)で、すべてのGFシリーズガス検知用赤外線サーモグラフィに搭載されています。 これは、サブストラクション画像処理技術で、カメラの温度感度を効果的に向上させます。 HSM機能により、前のフレームからビデオストリームにおける現行のフレームの個別ピクセル信号の割合を差し引きます。これにより、フレーム間の差異が強化され、結果画像内の漏出箇所をよりはっきりと際立たせます。
FLIR GF306:優良な投資
Sedláček氏は、ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306の購入は良い選択だったと述べています。 「ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306により、SF6漏出を発見できるので、迅速に修理することができます。これにより、SF6を補充するために別途発生するはずのコストを節約することができます。また、漏出箇所を確認している間のダウンタイムを発生させずに済みます。
FLIR GF306
ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306は、軽量、コンパクトで、背中や腕の負担を防ぐために人間工学に基づいたデザインになっています。 回転するハンドル、直接操作できるボタン、角度調整できるビューファインダーおよびLCDスクリーンを備えており、ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306はエンドユーザーの視点に立ってデザインされています。
ガス検知用赤外線サーモグラフィFLIR GF306では、検出器反応が10~11μmであり、さらにこれは、冷却式フィルターを使用することにより、スペクトルで約10.5μmに適合しています。 これにより、特別なモデルである、FLIR GF306ガス検知用赤外線サーモグラフィは、六フッ化硫黄(SF6)に最も敏感に反応することができます。