フリアーシステムズのサーモグラフィカメラで共存昆虫の秘密を明らかに

                      

フリアーシステムズのサーモグラフィカメラは昆虫の研究にも非常に役に立ちます。 研究者たちは、宿主植物のもとで複数の昆虫種がどのように共存しているかを調べるためにそれを使います。 小麦植物に共存する昆虫種を用いたペンシルバニア州立大学での実験で、FLIR T650scが貴重な熱情報を提供しています。

ペンシルバニア州立大学の昆虫学部と生態学部は、人間の健康、生活の質、食物と生態系の持続可能性の向上に寄与する昆虫について、優れた研究を行うことを使命としています。 昆虫学は、実のところ、生命や環境そして社会の福利を理解する上で大きく貢献する学際的な生命科学です。 昆虫は、食用植物の授粉という良い影響であれ、食物をめぐる私たちとの競争や主な病気の原因物質としての悪い影響であれ、人類の文明に大きな影響を与えています。

昆虫と温度

昆虫学部や生態学部の研究は多様な問題を対象とし、昆虫の生活について知識を深めるためサーモグラフィを含むさまざまな実験アプローチと方法論を使用しています。 温度は、昆虫の成長と勢力の拡大を左右する最も重要な環境要因の1つです。 宿主植物(昆虫がそこに住み家を持ち命をつなぐ植物)を取り巻く微気候条件は、草食性昆虫にとって特に重要で、その温度勾配次第で宿主植物上の昆虫の分布はしばしば変化します。

ペンシルバニア州立大学で昆虫学を専攻する大学院生、Mitzy Porrasは、このような微気候の研究者で、特に宿主植物における昆虫の共存に関心を寄せています。 「なぜ競争種同士が共通の環境で共存できるのでしょうか? 植物の温度勾配を調べることで、昆虫がどのように共存しているか、つまり共存のメカニズムや、これらの昆虫の植物内での標準的な分布について洞察を得ることができます。」

植物の温度測定

小麦(Triticum aestivum L.)の温度勾配を調べる実験が設定されました。 「その植物の茎部と頂部両方の温度を正確に測定したいと考えました」とMitzy Porrasは言います。 「しかし、狭い葉と茎という小麦の物理的特徴が正確かつ信頼性の高い温度を測る上で障害となりました。」

「以前、他の大学で熱電対を使って研究したことがありますが、残念ながら熱電対は植物の温度を測る技術としてはあまり効率的ではありません」とMitzy Porrasは続けます。 「まず第1に、熱電対は単一点の温度のみを測るもので、より大きくよりボリュームのある表面を測るものではありません。 2番目に、熱電対で植物の温度を測ろうとするとその植物に触れなければなりません。 触ることで測りたい温度を変化させてしまうのです。 こういうことでは、正確な測定などできるはずがありませんね。」


模擬的現場密度で成長した小麦 左から右へ:可視画像、赤外線画像、測定値 小麦植物には温度勾配がある(模擬的現場密度において) 植物の温度は、茎部で22 ± 1.5℃、葉の最尖端で32.5± 1 ℃ と変化している。

サーモグラフィ

「この実験ではサーモグラフィカメラを使うことにしました。この技術を使えば、植物の温度の不均一性を正確に特徴付けることができるからです」と、Mitzy Porrasは言います。 「植物の茎部と尖端部の両方の温度を同時に評価できるし、また温度勾配の全体像を1つの画像として見ることができます。 小麦は茎も葉も細いので、その温度をバックグラウンド温度と区別するのが困難でした。 しかし、サーモグラフィカメラに適切なレンズを付けることでその困難を克服できました。 このようにして、小麦の葉の温度を3つのポイントで評価することができたのです。」

「サーモグラフィのもう1つの大きなメリットは、それが非破壊的な方法である点です。測定行為によって植物の温度に影響を与えてしまうことがありません。」


植物個体ごとの温度勾配特性:個体が経験する相対湿度およびストレスに応じて、温度は2℃〜4℃の範囲で変化する。 FLIR TOOLSを使って温度勾配を確認

サーモグラフィ測定は、放射率値が0.90であるFLIR T650scサーモグラフィに15mmのレンズを付けて行われました。 小麦植物を、湿度、光、温度、風速を制御した成長チャンバー内に置き、均一な気流と変動のない条件を確保しました。 実験の約2時間前にフリアーシステムズのカメラをインキュベーター内の環境条件に曝し、植物は写真撮影の24時間前にインキュベーター内に置いてその環境に順応させました。 植物とカメラの距離は1メートルで、植物個体ごとに10枚の写真が撮影されました。 模擬的な現場密度条件における植物について、温度勾配の評価が行われました。

使い易いサーマルイメージャー

実験に使うのに適切なサーモグラフィカメラを探すため、Mitzy Porrasは他の学術論文に記載されている実験の技術的要件をレビューしようと決めました。 その結果、研究と学問の世界で広く普及しているサーモグラフィカメラであるT650scが、彼女の仕事に最適なカメラであるとわかりました。

FLIR T650scは、640 x 480ピクセルの解像度と小さなスポットサイズを備えた赤外線リサーチカメラで、正確な結果と信頼性の高い温度測定精度が得られます。 このカメラは傾斜可能なIRユニットを装備しており、ユーザーはすばやく快適な位置から実験を進めることができます。 高品質のLCDタッチスクリーンは鮮明で明るい画像を表示し、また設定の変更やてメニュー操作も簡単です。 T650scはまた、FLIR独自のMSX®およびUltraMaxTMイメージエンハンス機能も備えています。

「FLIR T650scを使うことで小麦の茎と尖端の温度を非常に正確なレベルで評価することが可能になり、またそれはこの実験の目的である温度勾配を極めて詳細に示してくれました。」とMitzy Porrasと述べています。 「それだけではなく、このカメラはとても操作が楽なんです。 FLIRユニットはフィールドでも実験室でも使え、とてもフレキシブルです。 このカメラはさまざまな環境での使用が可能で、成長チャンバーへの順応も早いことも証明済みです。」