ハーランド・アンド・ウルフ、FLIRの技術を活用し、重要施設のセキュリティを強化する
ハーランド・アンド・ウルフは、ベルファストの歴史に密接に関わっていて、同社製のクレーンはこの市の景観の一部となっています。この意味で、ハーランド・アンド・ウルフなくしてのベルファストを考えることはできないでしょう。 かつて世界最大の造船会社であったハーランド・アンド・ウルフは、今日、150年の歴史を誇る技術の粋を海洋関連、洋上、再生可能エネルギーといった部門へ提供しています。
クイーンズ島に位置するハーランド・アンド・ウルフの施設は、現在、世界最大級の外航船のほか、洋上プラットフォームから大型クルーザー、洋上風力発電所など様々な施設の保守管理に使用されています。 同社はベルファストに2つの拠点を構え、80ヘクタールを超える敷地面積を有しています。 その主要施設と外部との境界は1.5キロメートルにも及びます。 同社は事業を進めるにあたって安全性を第一に考えており、部外者や不法侵入者、悪質な器物損害行為から施設を守るためにはいかなる労力も惜しみません。
高まる安全上の懸念
15年以上にわたり、ハーランド・アンド・ウルフはFLIRの統合ビデオ管理システム(VMS)を用い、多種のセキュリティカメラを管理してきました。 歳月を経るとともにUnited VMSに新しい技術や機能が追加されてきたこともあり、ハーランド・アンド・ウルフは常にFLIR製品を愛用し続けてきました。
しかし、クイーンズ島の、工業地、商業地、そして観光地としての開発が進むにつれ、より多くの人がこの地を訪れるようになり、安全・防犯上の重大な懸念が浮上してくるようになりました。 これを受け、ハーランド・アンド・ウォルフは近年、最新のセキュリティカメラ技術に継続的に資金を投入し、FLIRから企業用セキュリティカメラ、PTZカメラ、インテリジェントなサーマルカメラ、モバイルカメラ、ウェアラブルカメラなどを購入してきました。
光学カメラとサーマルカメラ
「現在、140機以上のFLIR製のカメラを敷地内と敷地の周囲に配置し、異常事態を検知できるようにしています」とハーランド・アンド・ウォルフの警備業務を統括するクリス・ネイル氏は語ります。 「カメラの1つが、例えば、不法侵入といった問題を感知すると、警報が鳴り、警備管理室に通報されます。そこで問題に対処することになります。 このようにして、わが社と顧客の資産を常に高い安全性で守ることができるわけです」
敷地内への侵入は多大な悪影響と危険性をもたらすので、同社の警備部門では、侵入者が入った可能性を検知し、未然に一大事を防ぐための取り組みが行われています。 敷地周辺の、電灯がないまったくの暗闇であっても、サーマル解析カメラを使用すれば、侵入者、動物、車両の存在を、それらが発する熱により自動的に感知することができます。 サーマルカメラの映像だけでは侵入者を完全に特定することはできませんが、保険会社や法執行機関へ提出する証拠として使用することができます。特に、複数のカメラで侵入する様子が捉えられたときなどには有効です。
ハーランド・アンド・ウォルフのベルファストにある2つの企業施設には、140機以上に及ぶFLIR製のカメラが設置されています。
United VMS
United VMSは、FLIRの企業用ソフトウェア・ソリューションで、ビデオ監視業務に使用します。 現在、ハーランド・アンド・ウォルフでは、4人の管理室オペレーターと8人のマネジャーがこのソフトウェアを使用しており、彼ら全員に専用の使用者権限が付与されて
います。 United VMSシステムの強みの1つは、市場で売られている、ほぼすべてのセキュリティカメラに接続でき、ビデオストリームや検知警報を、ビデオウォール、PC、スマートフォンといったあらゆるディスプレイに表示することができる点です。
しかし、ハーランド・アンド・ウォルフのUnited VMSの応用範囲は、これに留まりません。 「私たちは、例えばUnited VMSを利用して、油田掘削装置の火気センサーのアラームを監視したりもしています」とネイル氏。 「別の利用法としては、乾ドックのポンプの故障を検出する、といった例が挙げられます。 この情報はUnited VMSにも送信されるので、そこで私たちは警報を発し、担当スタッフにその旨をリアルタイムで知らせることができます」
ハーランド・アンド・ウォルフは、United VMSの対応能力をフルに活用し、警備に限らず、様々に応用しています。 「私たちの事業は常に動いています」とネイル氏は言います。 「ハーランド・アンド・ウォルフは、常に新しい課題に向き合い、浮上してきた問題を解決していますが、FLIRのUnited VMSプラットフォームは、私たちのこうした取り組みを助けてくれます」
FLIR製United VMSプラットフォームは、市場のほぼすべてのセキュリティカメラへ接続できる
TruWITNESSモバイルウェアラブルプラットフォーム
ハーランド・アンド・ウォルフでは、TruWITNESS(FLIR製最新モバイルウェアラブルセンサー技術)も活用する予定です。 TruWITNESSにより、パトロール中の警備員が、ハーランド・アンド・ウォルフの敷地内のどこからでも映像をリアルタイムで直接管理室へストリームすることができるようになります。
FLIR TruWITNESSにより、警備員が映像をリアルタイムで直接管理室へストリームできるようになる
警備員は、イベントをブックマークすることで、事件や異常事態を報告したり、より効率的に対応できたりするようになります。 事件が起きた際は、TruWITNESSウェアラブル機器で撮影した映像を証拠として使用できます。 加えて、管理室オペレーターはUnited VMSを通じてスタッフの総数を把握し、彼らの位置をマップ上に表示することができます。
義務としてのセキュリティ
ネイル氏は語ります。「わが社の黄色いガントリークレーンは北アイルランドを象徴する建造物となっていますが、 残念なことに、これはまた、政治的な落書きの格好の標的となりますし、過去には、テロリストに狙われることもありました。 港湾施設であるので、ハーランド・アンド・ウォルフは英国運輸省により課されるセキュリティの最低レベルを満たさなくてはなりません。 しかし、実際には、私たちは常にこれらの要件を満たしています。 これは、わが社のセキュリティ技術への継続的投資によるもので、私たちは、これを同時に顧客に対する義務と考えているのです」
おそらく、これがハーランド・アンド・ウォルフとFLIRを結びつけるものなのでしょう。 「私たちが顧客に対し忠実であるように、私たちのサプライヤーにもそのようであってほしいと願っています」とネイル氏は言います。 「技術畑を歩いてきた人間として、私はFLIRのセキュリティ関連製品の品質を常に信頼してきました。 しかし、技術的サポートに頼らなくてはいけないことがどうしても出てきます。こうしたときにこそ、FLIRと他のサプライヤーとの差が出るのです」
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