ハンブルクでは赤外線センサーを使用して交通流を改善

ヨーロッパでも特にスマートシティプロジェクトに熱心なドイツのハンブルクでは、都市のモビリティとサステナビリティの課題に正面から取り組むことを決めました。 都市の動態のより良い洞察を得るために、ハンブルクでは交通のデジタル化が高く信頼されています。 データの収集と解析により、同市の交通局はより賢明な判断ができるようになります。 フリアーシステムズの赤外線サーマルカメラの広範なネットワークにより、新たなデータセットが得られるのです。


ハンブルクはドイツで2番目に大きな都市であり、同国北部の重要な港湾都市でもあります。 また、エルベ川によって北海とつながっています。 ハンブルクは、ドイツで最も革新的なスマートシティという評判を急速に獲得しつつあります。 同市では、都市のモビリティとサステナビリティの課題に取り組むスマートシティ計画を60以上立ち上げています。

ハンブルクでは、都市のモビリティに関する問題に取り組むことが優先課題と位置付けられています。 ナビゲーションテクノロジー企業のTomTomが2018年に実施したドイツ各都市の調査によると、ハンブルクはベルリンを含めた国内のどの都市よりも渋滞がひどい状況でした。 この調査により、2018年にハンブルクの通勤者の33%が交通渋滞に直面していることが明らかになりました。これは、自動車運転者が1年で平均113時間を交通渋滞で無駄にしていることを意味します。

 

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フリアーシステムズの赤外線センサーは、乗用車、トラック、自転車を識別することができます。

 

交通データの収集

ハンブルク市当局は、交通動向をより良く把握することで渋滞を緩和できると確信しています。 都市のどの場所で交通がスムーズに流れ、どの場所で定期的な渋滞が発生しているのでしょうか? どのような交通迂回路が合理的なのでしょうか? そして道路工事が交通流に及ぼす影響はどのようなものでしょうか? ハンブルク市の交通局はこの種の交通データに基づいて、より優れた交通予測とより正確でリアルタイムの意思決定を行いたいと考えています。

交通データに対する高いニーズを満たすために、交通制御とインフラの公共サービスプロバイダーであるHamburg Verkehrsanlagen GmbH(HHVA)は、自動車と自転車を検知する目的でフリアーシステムズの赤外線サーマルセンサーを2,000台以上注文し、2021年までに信号機や街路灯に設置する予定です。 赤外線サーマルカメラを使用することで、交通制御装置は道路の混雑状況に応じて(ほぼ)リアルタイムで信号を調整することができます。 さらに、大量の交通データにより、交通管理者は長期計画をさらに良いものにでき、渋滞を削減することができます。

フリアーシステムズのセンサーで収集されたデータはクラウドベースの都市データプラットフォームに送られ、これによりデータをリアルタイムで評価できます。 このプラットフォームを利用するユーザーの1つがハンブルク交通局であり、データを使用して信号機制御を最適化し、まれな渋滞や道路工事といった交通問題をより迅速に解決します。

 

交差点での車両データ

フリアーシステムズの赤外線サーマルカメラは2つのデータ収集プロジェクトで使用され、いずれのプロジェクトも都市データプラットフォームで管理される予定です。 赤外線サーマルカメラのほとんどはハンブルク市内にある約420か所の交差点に設置され、車両交通に関するデータを収集します。 この計画では、各交差点に複数の赤外線サーマルカメラを設置して、あらゆる方向の交通を監視します。

フリアーシステムズのセンサーは、交通量、速度、占有率、方向、車間時間、車種分類(乗用車、トラック、自転車を含む)といった交通データを収集できます。 車線および車両クラスごとに統合された交通データを提供することができます。 これら全ての情報により、交通管理者は交通をより正確に予測し、変化をシミュレーションし、車線の増減を計画し、駐車管理についてより賢明な判断ができるなど、さまざまな効果が期待できます。

 

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フリアーシステムズのセンサーを45基の街路灯に設置し、ハンブルク市の自転車交通量集計ネットワークプロジェクト用に自転車交通量のデータを収集する予定です。

 

自転車交通量の集計

45基の街路灯に設置されたフリアーシステムズのカメラを使用して、ハンブルク市の自転車交通量集計ネットワークプロジェクト用に自転車交通量のデータを収集する予定です。 カメラは、交差点が少ないために混雑している市内中心部の重要な自転車用道路への主な進入ルートおよびエルベ川横断部に設置されます。

都市の道路網にある集計ポイントは、天候、祝祭日、主要イベント、建設現場などの影響、さらには自転車交通量に対する交通迂回路の効果を調査できる場所でなくてはなりません。

市関係者によると、フリアーシステムズの赤外線サーマルカメラで自転車交通量を集計することは、非常に効率的で費用対効果に優れた方法です。 以前は自転車交通量を地下の磁気ループ、光学センサー、または手作業で集計していましたが、フリアーシステムズのセンサーは既存の照明インフラに設置でき、自転車交通量を24時間365日監視することが可能です。

 

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ハンブルクでは、あらゆる気候条件で交差点の様子を1日24時間しっかりと監視できます。

 

24時間365日の赤外線検知

ハンブルク市は車両と自転車を検知する目的で、赤外線センサーと検出器が統合されたフリアーシステムズのThermiCam 2を採用しました。 フリアーシステムズのThermiCam 2の動作には照明が不要です。 車両や自転車利用者から放出される赤外線エネルギー(熱)を使用するのです。 このためセンサーは、不十分な照明条件、悪天候、さらには夜間でも、遠い距離から車両や自転車を検知できます。 また、赤外線センサーは、通常の可視光カメラでは対処の難しい影や強烈な日光のある状況でも問題なく機能します。 あらゆる条件下でカメラの信頼性が高いということは、ハンブルクではあらゆる気候条件で交差点を1日24時間しっかりと監視できるということです。

もう一つの重要な利点は、赤外線カメラではプライバシーの問題が発生しないということです。これは可視光カメラでは大きなハードルになります。 赤外線カメラは車両のタイプを確認するのに十分な情報をもたらしますが(FLIR ThermiCam 2は5種類の車両クラスについてデータを収集します)、顔やナンバープレートを確認することはできません。

 

交通公害の低減

2,000台の赤外線サーマルカメラをハンブルク市内に設置することで、交通局は交通量を予測し、渋滞を低減し、道路工事や交通迂回路についてより賢明な判断ができるようになります。 一方、交通流を円滑にすることには、もう一つの利点もあります。 都市の渋滞を削減することで間違いなくアイドリングの時間が減少するため、都市の大気質が改善されます。

ドイツ政府はEUの大気清浄化計画を受け入れており、この計画では国内各都市の大気質を今後10年間で改善する目的で厳しいガイドラインを策定しています。 フリアーシステムズのセンサーは、ドイツとハンブルク市がその目標を達成するための支援が可能です。


ガイドの入手はこちらより。
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