ニュージーランド、オークランド市のタマキドライブで、フリアーシステムズの赤外線サーマルセンサーが自転車の安全性を強化
自動車と自転車などの道路使用弱者のレーンが明確に区分けされない道路環境では、自転車の走行に大きな危険が伴います。 ニュージーランド、オークランドのタマキドライブは交通量が非常に多く、こうした危険な交通環境の道路であり、過去数年間に死傷者や重傷者を伴う自転車事件が既に何件も発生しています。 オークランド交通局は事故を未然に防止するため、様々な自転車安全対策の実施を決定しました。そこでフリアーシステムズの赤外線サーマル技術に基づく自転車警告システムの導入が進められました。
タマキドライブはオークランドの代表的な都市設備として、特に人気の高い魅力的なルートと言えます。 また、都市部へ接続する幹線道路として、地域社会と都市のレクリエーション施設の役割も果たし、マオリ社会にとって文化的重要性の高い場所でもあります。 このエリアは自動車/自転車/公共交通車両/歩行者/観光客などあらゆる利用者に共有されることから、歩行者や交通機関用の設備、そして駐車場の需要の高い場所です。 2010年、オークランド交通局はタマキドライブの継続する自転車安全性問題に対処するため、独立安全監査の実施を依頼しました。 安全監査の結果を受けて、自転車レーンの設置や道路設備の再設計をはじめとした、様々な交通安全関連プロジェクトが確立されました。具体的には、走行車両を減速させてドライバーに自転車が接近中であることをより明確に認知させる「自転車警報システム」の導入が決定しました 。
従来の常時点滅型の警告信号はドライバーの運転行動を劇的に変化させるきっかけとはなりにくく、警告効果はそれほど高くありません。 しかし、実際の交通状況を逐一検知して適時に警告信号を発するシステムであれば、こうした事態を解消できます。つまり、自転車の存在が検知される度に警告信号を発するシステムです。
自転車の存在を警告するシステム
タマキドライブでは、車両が右折してNgapipi道路に入り、タマキドライブ本線から外れるポイントを重点箇所のひとつとしました。 この場所は自動車と自転車の衝突リスクの高いことが判明しています。 オークランド交通局の交通安全・道路帯運用マネージャーのKaren Hay氏は、次のように述べています。「タマキドライブの自転車の安全性を強化し、右折車両のドライバーの視認性を改善する必要がありました。 ドライバーに、接近してくる自転車と道路を共有しているということを明確に認識させるシステムを模索していました。 また同時に自転車利用者にも、自転車の安全性が適切に考慮されているという安心感を与える必要もありました。 自転車と自動車を明確に区別して、自転車を直接視覚で確認して迅速に検知できるシステムが必要でした。 その条件を完璧に備えたのが、フリアーシステムズの技術でした。」 フリアーシステムズ事業開発マネージャーITSのNico Verstraete氏は、次のように述べています。「警報灯によりドライバーに注意喚起が促され、自転車へのリスク回避の行動が取られるようになります。 とは言え、 従来の常時点滅型の警告信号はドライバーの運転行動を劇的に変化させるきっかけとはなりにくく、警告効果はそれほど高くありません。 しかし、実際の交通状況を逐一検知して適時に警告信号を発するシステムであれば、こうした事態を解消できます。つまり、自転車の存在が検知される度に警告信号を発するシステムです。
ThermiCamの設置により、交通管理者は自転車の24時間検知体制を実現できます。周囲光量には一切左右されず、さらに自転車が所定の自転車レーンまたは主要車線のいずれを通行している場合も、常に確実な検知が行えます。」
自転車を検知する
ここで、自転車が存在するという情報をどう収集するかという課題点が残っていました。 しかし実は、オークランド交通局にとってフリアーシステムズのITS技術の使用は今回が初めてではありませんでした。 オークランド交通局は、長年、フリアーシステムズの技術を様々な用途に利用してきました。例えば、VictoriaトンネルやWellingtonトンネルの事故検知技術、HalseyやGauntの車両検知センサー、13カ所の交差点の歩行者検知センサーなどにフリアーシステムズの技術が既に導入されていました。 フリアーシステムズのセンサーによる自転車の検知はオークランド交通局にとって全く新たな試みでした。しかし、それ以外の様々な検知法は、入念に調査・検討した結果、現状に適していないことが判明したのです。 最初に、他社の機器を使用した可視光ビデオによる検知技法が検討されました。 「自転車や自動車の検知は、従来のビデオ検知法でも支障なく行えました」とNico Verstraete氏は言います。 「しかし場合によっては、無灯火で走行する自転車も存在するため、暗闇や夜間環境では自転車と車両の明確な区別が難しくなります。」 次に検討したのは、誘導ループを自転車レーンに設置する方法でした。 誘導ループは、自転車の車輪の電磁石 を分析することにより、自転車の存在を検知します。 Karen Hay氏は語ります。「自転車が所定レーン上を走行していない場合、誘導ループ自体に接しない可能性もあるため、この検知方法では不十分でした。 さらに、カーボンファイバー製の自転車の場合、ループセンサーにより感知可能な金属材質を持たないため、誘導ループでは自転車の存在を正しく検知できないこともあります。」
赤外線サーマルセンサーによる自転車検知
オークランド交通局は、フリアーシステムズが提供する最先端のITS技術開発に関するトレーニングセッションで、新たなソリューションに出会いました。 FLIR ThermiCam 車両・自転車検知センサーは、様々な検知上の問題を克服できる完璧なソリューションでした。 「ThermiCamは赤外線サーマルカメラと検知器が一体となり、自動車や自転車に対する優れた検知能力があり、交通信号機や交通警告信号の確実な制御が行えます」とNico Verstraete氏は言います。 「ThermiCamは道路利用者の発する熱情報に基づき、自動車や自転車の検知を行います。検知情報は、接点開閉やIPにより各交通信号制御機へ送信されます。 これにより、自転車に関する現場情報に基づく警告信号の動的制御が可能になります。」
24時間365日の自転車検知体制
この赤外線交通センサーの優れた点は、自転車や自動車が元来持つ熱エネルギーを有効に活用することにより両者を明確に区別できることです。 さらにThermiCamは、真っ暗闇の夜間環境や長距離範囲でも自転車を検知する能力があります。 つまり交通管理者は、周囲光量に一切左右されず、24時間体制で自転車を監視できるようになります。 そして何よりも、ThermiCamは従来の視覚カメラでは検知困難な様々な条件下(直射日光下、反射する濡れた路面、車のヘッドライトによる干渉、影、雪、霧がある場合)でも、一貫して信頼性の高い車両・自転車 検知が行えます。 「タマキドライブに設置されたThermiCamセンサーは、優れた検知能力を実証しています」と、Karen Hay氏。 「カーボンファイバー製の自転車も含め、あらゆるタイプの自転車を非常に素早く高精度に検知できます。 ThermiCamセンサーは明らかに最適なツールであり、当局では適切なITS技術への導入を検討する予定です。」