スマート交通センサーが、ロシア・モスクワ都市部の交通渋滞を緩和
モスクワ市は、交通渋滞に関する統計調査にそれほど積極的ではありません。 近年モスクワ市は、深刻な交通渋滞問題に対処するため、高度道路交通システム(ITS)の開発に着手しました。 信号機付き交差点沿いの交通流の円滑化を図るため、モスクワ市からフリアーシステムズの専門技術の提供が求められました。 3,000台を超えるTrafiCam x-stream車両検知センサーを活用すれば、実際の交通状況に応じて信号機の作動サイクルを適時に調整することができます。
モスクワはヨーロッパ最大規模の都市のひとつであり、昼間人口は最大1,600万人、車両数は約600万台にも達し、さらに急速に増加し続けています。 急速な人口増加の結果、交通密度が非常に高くなりました。 近年モスクワ市は、世界主要都市の中でも渋滞指数が一番高いとの結果が出ています。 モスクワ市内でのラッシュアワー時の平均移動時間は増加傾向にあり、さらに、遅延発生率はヨーロッパ都市の中で最高です。遅延発生率の高い都市はモスクワを筆頭に、イスタンブール、ワルシャワ、マルセイユと順に続きます。
3,000台を超えるTrafiCam x-stream車両検知センサーが、交通量の多い様々な信号機付き交差点に配置される予定です。
モスクワ市当局は渋滞問題に取り組むため、ITSモスクワの創設を命じました。これはロシア連邦政府とモスクワ市職員の共同プロジェクトとして、モスクワ市内の渋滞緩和を目的としています。 ITSモスクワプログラムの一環として、ITS設備に約2億ユーロの投資が計画されており、2015年まで段階的な投資が続けられる予定です。 ITSモスクワプロジェクトでは、モスクワの主要な交通問題や交通渋滞の緩和ため、ITSの開発・メンテナンスが進められます。 モスクワ市当局はITSの導入により、交通量の20%以上の削減を目指しています。
スマート交差点
ITSモスクワプログラムの重要なポイントは、いわゆる「スマート交差点」の確立です。スマート交差点とは、フリアーシステムズのスマートセンサーにより都市交通量の監視が行われる交差点を指します。 3,000台を超えるTrafiCam x-stream車両検知センサーが、交通量の多い様々な信号機付き交差点に配置されます。 各交差点に4台ずつのTrafiCam x-streamセンサー装置が設置され、フリアーシステムズの技術により750以上の交差点を効率的に制御することができます。 一体型のインテリジェントカメラは、交差点の待機車両と接近車両を共に検知することにより、信号機の作動タイミングを交通状況に応じて適時に最適化することが可能になります。 つまりFLIR TrafiCam x-streamセンサーの働きにより、信号の待ち時間を短縮することができるのです。 「この最先端システムは、TrafiCam x-streamセンサーの情報に基づき、交通状況の変化に応じて、交通信号機のサイクルをリアルタイムに変更することができます」と、フリアーシステムズ国際事業開発マネージャーのArtem Kryvobok氏は言います。 「一旦システムを完全に稼働させれば、モスクワ全体のフリアーシステムズ製センサーにより信号の待ち時間を大幅に削減できることが期待されています。」
TrafiCam x-stream車両検知センサーには、CMOSカメラおよびビデオ検知器が共に組み込まれています。 統合型センサーは、信号機付き交差点の走行車両や停止車両の検知・監視に適したソリューションです。 検知出力またはIPプロトコルを介し、車両の有無を示す情報が交通管理者に送られることから、信号のタイミングを動的に調整できます。 これにより、信号待ちの車両を減らし、交通流を最適化することができます。 スマートなTrafiCam x-streamセンサーは、従来の誘導ループに代わる、非常に信頼性の高いセンサーです。 FLIR TrafiCamシリーズを使用すれば、交通管理者は車両を検知するゾーンを正確に配置・検証することができます。 車両検知ゾーンはビデオ画像として表示されるため、交通状況が変化した場合には、簡単に再配置できます。
TrafiCam x-streamには、IPアドレスを割り当てることができ、フルフレームレートのMPEG-4またはH.264カラーストリーミングビデオが交通管制室に提供されるため、交差点の総合的な監視が行えます。
優れたパフォーマンス
「2012年の時点で、既にフリアーシステムズのTrafiCam x-streamセンサーの実験的プロジェクトがモスクワの道路において実施されていました」と、Artem Kryvobok氏。 「 プロジェクト当局による徹底的な評価が行われた結果、TrafiCam x-streamは最適な技術ソリューションとして高い評価を受けました。 フリアーシステムズのセンサーは、モスクワの深刻な汚染条件下でも優れた検知結果を達成しました。 通例、交通カメラは、大量の排気ガスによりレンズ表面に汚れが付着し、検知精度が損なわれることがあります。 しかし、TrafiCam x-streamでは一切問題がありませんでした。」 モスクワ市当局からは、交通管制室でカメラストリームを目で確認できる機能も高い評価を受けています。 TrafiCam x-streamには、IPアドレスを割り当てることができ、フルフレームレートのMPEG-4またはH.264カラーストリーミングビデオが交通管制室に提供されるため、交差点の総合的な監視が行えます。 使いやすいWebインターフェースを用いて、交通管制室でビデオソースのオンライン管理が行えます。